第144章 後悔してもらう

「凪紗、どうして来たの?」

 物音を聞きつけた石川雲が出てきて、私の顔を見るなり、笑っているのに目だけが笑っていない表情で言った。

「香織に用? あの子、昨日の婚約のあと良介と友だちとお祝いに出かけてさ。帰ってきたの、だいぶ遅かったのよ」

「会いたいなら少し待って。人をやって呼ばせるから」

 私は顔を動かさずに答える。

「……それなら、お願いします」

「はいはい。好きに座ってて」

 石川雲はそう言いながら、腰をくねらせるようにして階段を上っていった。

 入れ替わるように、瀬川雫が気配に気づいてひょいと顔を出した。来たのが私だとわかると、ぱっと花が咲いたみたいに駆け寄ってくる。...

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