第149章 すべては偶然

私が駆けつけたとき、上田広本は道路脇にしゃがみ込み、みじめったらしい顔で恨めしそうに空を睨んでいた。

私に気づくと、よろよろと近寄ってくる。

「動くな」

私はバッグで彼の腹をぐいっと押さえた。

「……なにこの匂い。くっさ」

上田広本は自分の腕をくんくん嗅いで、情けない声を出す。

「半日以上歩かされましたから。汗臭いんです」

「はいはい。とりあえず洗わせて、それからうまいもん――」

そう言いかけて、車に乗れと顎で示す。

エンジンをかけた瞬間、また電話が鳴った。画面に出た名前は瀬川雫。

出た途端、耳が痛くなるほどの大声が飛んでくる。

「凪紗、どこにいるの!」

私は助手席の上...

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