第170章 不安なんじゃない?

「ほんとに、くれるの?」

 瀬川陸斗は揺るぎない目で私にうなずき、車のキーを私の手のひらへ、ぐいっと押し込んだ。

「凪紗、受け取って」

「……じゃあ、もらうね」

 私はキーをつまみ上げ、口元だけ笑って彼を一瞥する。

「じゃあ遠慮なく。ほんとに受け取っちゃうよ?」

 それからわざとらしく周囲を見回し、念押しした。

「これは陸斗が私にくれたものだからね。あとから『返せ』とか言わないでよ?」

「よくも平気で受け取れるわね! それ、私が陸斗にあげたものよ!」

 瀬川香織が、怒りで声を裏返らせる。

 私はにこにこしたまま返す。

「なんで平気じゃないの? 陸斗がくれたんだもん。あな...

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