第177章 録音

「兄貴、俺が手ぇ出したの、どの目で見たんだよ?」

病室のベッドに横たわる神崎東拓は、怒りで今にも跳ね起きそうな勢いだった。

「ほら見ろよ、俺の頭! こんなん、血ぃ出るほど殴られてんだぞ!」

神崎東拓が神崎倫司の前で訴える姿は、まるで外でいじめられて帰ってきた子どもみたいで、私は少し意外に思った。

「……そう」

神崎倫司は表情ひとつ変えず、東拓の頭に手を置くと――ぐっと力を込めて押し込んだ。

「いだだだだっ!」

「何すんだよ、神崎倫司! 頭おかしいのか、離せ!」

東拓の悲鳴を聞いた金津真菜子が、半狂乱でバッグを振り回し、倫司の背中を容赦なく叩く。

「お母さん! お母さん落ち着...

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