第179章 いい素質がある

午後になって、ふと顔を上げたときには、窓の外に瀬川陸斗の姿はもうなかった。

胸の奥がすとんと沈む。私は上田広本に電話をかけた。

電話を受けるなり、上田広本はすぐにオフィスへやって来たのだが――入ってくる様子が、やけにこそこそしている。

「瀬川さん、呼びました?」

私は首をかしげる。

「なんで泥棒みたいな入り方してるの?」

「だって、瀬川陸斗のこと注意しろって言ったじゃないですか。あいつが急に現れて、俺たちが仲良く出入りしてるの見たら警戒するかもしれないし」

そう言いながら、上田広本は首を伸ばして窓の外をちらりと覗いた。

その慎重さが可笑しくて、私は笑う。

「仕事の話で呼ぶの...

ログインして続きを読む