第186章 妹としか思っていない

神崎倫司視点

「……王冠は16世紀、I国王妃の所有物。現存するのは世界でただ一つ。開始価格は1億……」

壇上の司会者がそう言い切った瞬間、脳裏に凪紗の笑顔がふっと浮かんだ。

スポットライトを浴びて眩いほどに輝く王冠を見つめながら、俺は決める。――これを買って、凪紗に贈ろう。

「3億……」

会場の値は競り上がり、あっという間に3億を超えた。

そろそろ俺の出番だ。

手を挙げ、迷いなく口を開く。

「5億」

俺の声が落ちた途端、場内がすっと静まり返った。

壇上の競売人が興奮を隠しきれない声で叫ぶ。

「5億! こちらの紳士が5億で入札! ほかに上乗せはありませんか!」

視線が会...

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