第206章 いつ結婚するのか

村上由里が帰ったあと、私は父に電話を入れた。話を聞き終えると、父は大きく息を吐く。

「よし、わかった。思いきってやれ。父さんがついてる、怖がるな」

「はい」

短く返して、通話を切った。

今回向き合うことになるのは、誰かが金に手をつけた――それだけの話じゃないかもしれない。これを掘れば、もっと多くの人間の利害に触れる可能性がある。しかも私が引き継いだ矢先に起きた不祥事だ。対処を誤れば、社内が揺れる。

けれど、起きてしまった以上、見て見ぬふりはできない。膿は出すしかない。

退勤時刻、私はわざと少し遅くまで残り、遠回りして村上由里のオフィスを覗いた。数人がまだ残って作業を続けている。

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