第209章 証拠

胸の奥がふっと柔らかくなって、私は窓辺へ歩み寄り、下を覗いた。街灯の下に、神崎倫司の車が雫のように静かに停まっている。

上着を掴んで階段を駆け下り、ドアを開けた瞬間、ほわりと温かな食べ物の匂いが鼻先をくすぐった。

「少し食べて。明日、動けなくなる」

神崎倫司は湯気の立つ粥を私の手に渡し、やわらかな目を向ける。

「俺がいる。大丈夫だ」

両手で器を包み込み、彼の目の奥に滲む血走りを見て、胸がつんと痛んだ。今日一日、彼も私のために走り回っていたのだとわかる。私はそっと彼の肩に額を寄せる。

「倫司……あなたがいてくれて、本当によかった」

彼は手を上げ、私の髪をくしゃりと撫でた。低く、揺...

ログインして続きを読む