第219章 金がなくなった

私はどこか上の空だった。父が瀬川凪紗に借金を返すために、まさかここまでやるなんて思ってもみなかった。

「追うって……どこへ?」

私が口を開くと、母は私の手を掴んで言った。

「瀬川凪紗よ。お父さん、絶対に瀬川凪紗のところへ行ったんだわ。香織、早く止めてきて! あの中のお金、1億だけじゃないのよ!」

その言葉に、私は目を見開いた。

「お母さん……そんなに貯めてたの?」

「貯めたって、どうせあんたと陸斗のためよ! なのにあの人が……これから私、どうやって生きていけばいいのよ……!」

母はそう言うなり、声を上げて泣き崩れた。

そこでようやく気づく。父が持ち出したのは、私のための金だ。...

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