第29章 暴走

退勤間際、一本の電話が入った。

電話の相手は、私がジェイソンの動向を探らせていた人物だ。

「何か掴めた?」

「はい」

受話口の向こうが手短に告げる。

「ジェイソンさんは明日Y市に到着します。午後には馬場へ行く予定です」

「わかった」

通話を切った瞬間、胸の奥が熱くなった。――来た。私の番だ。

今生では、宮本良介より先に動く。先手を打って、ジェイソンさんをこちらに引き寄せる。

私はすぐ小林辰雄に電話を入れた。

「明日のために、馬場の馬の状態を徹底的に見ておいて。ジェイソンさんに贈る“あの馬”よ。絶対に手を抜かないで」

『承知しました』

問題は宮本良介だ。あいつも、きっと...

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