第35章 物はもう要らない

「甘すぎて、おいしくない」

 私の気持ちなんて最初から眼中にないみたいに、祖母は吐き捨てた。

 その様子を見て、石川雲がいかにも得意げに笑う。

「凪紗、おばあちゃんは甘いもの苦手なの。次買うなら、ちゃんと覚えときなさいよ」

 私は黙ってうなずく。

「よし。ご飯はできてる。食べながら話そう」

 祖母がそう言って立ち上がると、石川雲がすぐさま手を伸ばして支えようとした。

 けれど祖母は軽く手を振って拒み、父へ手を差し出す。

 父は慌てて立ち上がった。祖母は父に腕を預けながら、歩きつつ口を開く。

「廷海、陸斗がもうすぐ帰ってくるだろ。あの子、昔から機械いじりが好きだったし……戻っ...

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