第63章 どうして私に手を上げるの?

「ということは……瀬川香織さんと宮本様のほうが、もっと前から知り合いだったんですね」

 そこまで言って、瀬川雫が好奇心に目を輝かせた。

「じゃあ、どうして香織さんは宮本様と一緒にならなかったんですか?」

 口にした直後、失言だと気づいたのか、彼女は慌てて手を振る。

「凪紗、変な意味じゃないの。ただ、気になっただけで……」

 私は首を振って、くすりと笑った。

「気にしないで。でもそれ、私も知らない。香織に聞かないとね」

 そう言って数歩下がり、彼女が整えた顔を確認する。ファンデーションで頬の赤い跡はきれいに隠れていた。

「どう? これなら」

 瀬川雫は鏡の中の自分を見て、満足...

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