第81章 彼から遠ざかれ

川島梨菜が腰を下ろしたのを見届けてから、私は笑って瀬川雫に声をかけた。

「雫姉さんも、好きなデザイン選んで。せっかくだし一式作ってもらいなよ」

「うん」

雫は素直に頷き、私の隣にちょこんと座る。

私が頼んでいたネイルチップは、もう先に仕上がっている。あとはサイズが合うか試着するだけだ。

こっちでネイリストが私の指に合わせている間も、向こうの川島梨菜は相変わらず、人をからかって遊んでいた。

「ねえ、まだ名前聞いてないんだけど?」

男の子が低い声で答える。

「池田仁です」

梨菜がわざとらしく声を上げた。

「わあ、いい名前じゃん」

「ありがとうございます」

その声が落ちた瞬...

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