第6章 死産

あれから二ヶ月。

翠霞城の王宮は、煌々と灯りがともされ、祝祭の熱気に満ちていた。

私は宴会場の入り口に佇み、その光景を眺めていた。

銀青色の豪奢な魔法礼装に身を包んだエリノ姫が、高壇に設けられた玉座に腰を下ろしている。その腕には、金糸で魔法紋様が織り込まれた純白の産着に包まれた赤子が抱かれていた。

――私の、腹違いの弟。

そして、この国の次期王位継承者として、つい先ごろ叙されたばかりの存在。

この祝宴は、エリノ姫が産後、初めて公の場に姿を現すために開かれたものだ。翠霞城の名だたる高等魔術師の家系が、こぞって招待されている。

父上は最前列の席に座り、大魔術師の位を示す深青の礼...

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