第8章 終章

六年後。

王都の中央に、母を祀るための塔が建てられた。

それは一点の曇りもない水晶で築かれた尖塔で、その頂には永遠に消えることのない魔法の炎が燃え盛っている。炎の中心には母の魂を宿したクリスタルが浮かび、慈愛に満ちた銀色の光を放っていた。

「フィリア」

父上は記念碑の前に立ち、静かだが、国中に響き渡るような威厳を込めて言った。

「今日より、この水晶の塔は翠霞城の聖地とする。すべての魔術師はここで誓いを立てよ。魂の尊さに、生まれや血統は関係ない。その輝きは、ただ己の内にあるのだと」

その日、王の深紫の法衣をまとった父上が、厳かに儀式を執り行う姿を、私は見ていた。

その容貌は...

ログインして続きを読む