第101章

2、3分ほど待ったところで、見覚えのある車が道端に滑り込むように停まった。

 窓がするすると下がり、男の顔がのぞく。

 「香苗、乗れ」

 藤原京也にそう言われ、安野香苗はそのままドアを開けて車内へ乗り込んだ。

 「先輩、午前中は会議じゃなかったんですか? どうして病院の近くに?」

 思わず、そう尋ねる。

 藤原京也の目の奥がほんの一瞬だけ止まった。だが、すぐ何でもないように言う。

 「この近くで少し用があったんだ。たまたま通りかかっただけだ」

 表情に不自然さはない。安野香苗もそれ以上は深く考えなかった。

 会社へ戻ると、胸の奥に引っかかっていた妙な違和感を振り払い、仕事に...

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