第117章

 翔太はそれを聞くと、こくりとうなずいた。『うん』

 子どもを車に乗せてから、安野香苗はようやく苛立った目で江原司を見た。

『どういうつもり?』

 今夜、子どもを連れて江原家に来たときから、江原司は終始、鼻につく態度だった。見ているだけで腹が立つ。

『安野香苗。開廷までもうすぐだ。俺がこっちで引き延ばせば、また控訴したって次はそう簡単に進まない。考えてみろよ。離婚できないってことは、ずっと俺と縛られたままだ。俺はいくらでも付き合ってやる。でも、お前にはその時間があるのか?』

 江原司はもう取り繕うのをやめ、露骨に脅しをかけてきた。

 安野香苗は眉をひそめる。『……結局、何が言いた...

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