第118章

k市のホテル前。

黒いマイバッハが、すうっとエントランスに横付けされた。安野香苗と藤原京也が降り、館内へ向かおうとした、その背後で別の車も静かに停まる。

続いて、車から二人が降りてきた。

先頭に立つ男は、今夜こちらがもてなす相手――協業先の石上海人だった。

藤原が狙っている土地の使用権は、石上家が握っている。

石上海人は歩み寄り、にこやかに頭を下げる。

「藤原様。お会いできて光栄です」

藤原京也も薄く笑みを返した。

「石上さん。席はもう押さえてあります。どうぞ」

「それは助かります」

石上海人は隙のない笑みを崩さないまま、視線を香苗へ移したところで、わずかに目を瞬かせた。...

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