第130章

江原司がさっき入ってきたときの様子を一通り話し終えると、安野月子の胸に、じわりと危機感が湧き上がった。

思わず母の手をぎゅっと掴み、青ざめた顔で口を開く。

『お母さん……江原司って、あのクズにまだ未練があるんじゃない? 今日の目つき、いつもと違った。ここまでこじれてるのに、まだ安野香苗と離婚しないなんて……私、もう焦って死にそうだよ』

娘の愚痴を聞いて、早村千佐子も表情を引き締めた。

『あり得ないわ。あの二人、もうあそこまで揉めたんだもの。離婚しないなんて無理よ。月子、焦りすぎないで』

千佐子は娘の手をぽんぽんと叩き、諭すように続ける。

『男ってね、簡単に手に入るものほど大事にし...

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