第132章

「翔太、お母さん、ちょっと向こうで電話してくるね」

安野香苗がそう言うと、小さな子は素直にうなずいた。

「うん、お母さん」

少し離れた場所へ移動し、安野香苗は通話を取る。

『安野香苗、あんた今どこにいるの?』

繋がった途端、江原の母が冷え切った声を投げつけてきた。

相手を見下すようなその口ぶりが、香苗は昔から大嫌いだ。自然と声も冷たくなる。

「……何の用ですか」

『何の用って? 司が入院してるのに、なんで見舞いにも来ないの! あんた、妻としてどうなの? うちの息子があんたなんかと結婚したせいで、どれだけ不幸になったか!』

甲高く、刺々しい罵声。

香苗はわずかに目を見開いた...

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