第135章

彼女が会社に着いたとき、藤原京也はすでにしばらく前から来ていた。

香苗の顔色が冴えないのに気づくと、男は眉を寄せて声をかける。

『どうした、香苗。ちゃんと休めてないのか?』

その気遣いに、安野香苗は一瞬だけ動きを止めた。ぎこちなく口角を上げる。

『昨日、ちょっと寝るのが遅くなっただけです。大丈夫です。先輩、ありがとうございます』

昨日は翔太と遊園地で丸一日過ごした。ベッドに倒れ込めば、そのまま眠れるはずだった。

けれど、翔太の口から聞いたあの言葉が、どうしても胸の奥に引っかかったまま離れない。心がざわついて、落ち着かない。結局、眠りにつけたのは夜明け前だった。

『少し休んだらど...

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