第14章

夜――。

安野香苗はベッドに横たわりながら、さっきまでの翔太の腕の中を何度も反芻していた。胸に押し当てられた体温。耳元で響いた鼓動。まだ肌の奥に残っている気さえする。

けれど、白原ナナの言葉が冷水みたいに頭からぶちまけられ、浮かれていた熱を一気に冷ましていった。

――だめだ。翔太の親権は、絶対に勝ち取らなきゃ。

こんな歪んだ家で翔太を育てさせるわけにはいかない。江原司と安野月子に、あの子を染められるなんて――もっとあり得ない。

香苗は眉をきつく寄せ、胸の奥で静かに誓う。

動かなきゃ。まずは江原司の不倫の証拠を掴む。

だが江原司は表向きは甘く優しいくせに、肝心なところでは徹底的に...

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