第145章

江原司は病院を出ると、家には戻らず、そのまま車を走らせて会社へ向かった。

深夜の江原グループ本社ビルは、まだ灯りが落ちていない。

彼の執務室では、灰皿がすでに吸い殻で山になっていた。

安野香苗の目。

あの、まっすぐで、責めるような目が、何度も脳裏に浮かぶ。

『親権のためなら、実の息子のことまで切り捨てるの?』

『あなたがやってなくても、あなたの周りがやったなら同じよ。関係ないって言い切れるの?』

苛立ちに任せてネクタイを乱暴に引き抜き、江原司は秘書へ電話をかけた。声は沈み、疲れが滲む。

『コネを全部使え。あの3人の誘拐犯の資金の流れを洗え。1円たりとも見逃すな』

『それと、...

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