第152章

安野香苗と翔太の姿が廊下の奥へ消えるまで、江原司はその場に縫い付けられたみたいに動けなかった。

手の中のレゴのパーツ袋を見下ろし、自嘲気味に笑ってみせる。けれど目の縁は、じわりと赤い。

木山グループからの招待状が届いたのは、安野香苗が正式に研究室のプロジェクトを引き継いで三日目のことだった。

来週月曜の取締役会に出席し、木山グループ資産の引き継ぎについて協議してほしい――そう書かれている。

電話口の従兄、木山見明の声には、探るような慎重さが混じっていた。

『香苗、祖母さんの考えは決まってる。木山家のものは最終的に全部、お前に渡すって。でも会社には祖父さん祖母さんに何十年もついてきた...

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