第155章

十二時間後。K市――。

藤原京也が空港を出たとき、まだ肩口に冷気が残っていた。会社に寄って着替える暇もない。彼はそのまま車を走らせ、翔太が通うインターナショナル幼稚園へ向かった。

職員室の空気は、氷点下だった。

翔太はソファの隅に小さく縮こまり、顔色は青い。前髪は乱れ、手の甲にははっきりとした引っかき傷。泣いてはいない。ただ、唇をぎゅっと噛みしめている。

向かいの椅子には中年の夫婦。男は腹を突き出し、苛立たしげにスマホをいじり続ける。女は自分の息子の額にある青あざを指さして、声を荒らげた。

『大崎先生、うちは毎年何十万も学費を払ってるのよ? 子どもを殴らせるためじゃないわ!』

真...

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