第17章

木山雪兎が手を伸ばして安野香苗の身体を支え、木山夏子は彼女の腕を取って、奥のソファへ座らせた。二人とも江原司の名を口にしかけては、言葉を濁す。香苗の気持ちを思えば、いきなり突きつけるのが怖かったのだろう。

だが、安野香苗には分かっていた。唇をきつく噛み、口の中に鉄の味が広がる。瞳の奥に渦巻くのは、濃い憎悪。

「……絶対、江原司と安野月子が組んでやったのよ。あいつら、私たちが結婚した頃からもう……裏で繋がってた。私に薬を飲ませて、精神病院に閉じ込めて……それだけじゃない……」

思い出すだけで、臓が煮える。皮を剥いで骨まで砕きたい。そんな衝動と同時に、胸を刺す後悔が込み上げた。

「私が…...

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