第172章

木山水子はというと、椅子の上に片足を乗せ、片手を腰に当て、もう片方の指で彼の鼻先をびしっと突きながら、やたらと熱のこもった説教をかましていた。

『藤原京也、よく聞きなさい。うちの香苗はね、天から降りてきた仙女よ。国宝級の科学者! そんな子があなたに嫁いであげるなんて、藤原家の誇りなの。もし香苗に指一本でもつらい思いをさせたら、私が真っ先に許さないから!』

藤原京也は頭が痛くなった。酔い潰れている張本人を見て、腹立たしいのに、どこか可笑しくもある。

彼は上着を脱いで安野香苗の肩から包み込み、そのまま横抱きにした。触れ方は驚くほど慎重で、まるで壊れ物を扱うみたいに軽い。

木山水子の横を通...

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