第175章

その罵りは毒々しく、しかもやけに通る声だった。店内の誰もがはっきり聞き取れるほどで、堪えきれず吹き出す客までいる。

沈村靜美は顔色を真っ黒にして、今にも墨が垂れそうなほどだった。勢いよくテーブルを叩き、

『無礼者!』

安野香苗は騒ぎが大きくなるのを恐れ、慌てて木山水子の腕を掴む。

『水子、もういい。行こう』

『行くわけないでしょ! 今日はみんなに見せてやるんだから、このビッチの本性を!』

安野香苗は半ば引きずるように木山水子を連れ、視線が突き刺さる中、レストランを後にした。

『ムカつく! ムカつくムカつく!』

外へ出た途端、木山水子は手を振りほどき、歩道の端でぴょんぴょん跳ね...

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