第180章

『お母さん!』

『沈村おばあさま!』

御霊舎の中は一瞬でざわめき、誰もがぎょっとして息をのんだ。

茶屋の離れ座敷。木山水子は双眼鏡をぱたんと畳むなり、卓を思いきり叩いた。

『やっば! 藤原京也、今日マジでカッコよすぎ!』

『拳が硬いって? ……ふん、男らしいじゃん』

空野凛は脚を組み、面白がるように口元を吊り上げる。

『分かってない!』

水子は白い目で睨み、鼻で笑った。

『あれは愛! 自分の女を守るためなら世界を敵に回すってやつ!』

言い切っても胸のつかえが取れず、水子は卓の徳利を掴んで、なみなみと注いだ一杯をぐいっと流し込む。

『行こ。あのババア、気絶したんでしょ。も...

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