第19章

黒いキャップを深く被った男は、自分の「傑作」をしげしげと眺めると、写真をひとまとめにして見知らぬメールアドレスへ送りつけた。

そのころ――

藤原京也は安野香苗を無事に家まで送り届けていた。

「今日はありがとうございました」

香苗は礼儀正しく頭を下げ、そのまま踵を返して邸内へ入っていく。

「……どこへ行ってた」

背中に、氷みたいに冷たい声が刺さった。

灯りの落ちたリビング。指先も見えない闇に、香苗はぞくりと総毛立つ。振り向いた先にいたのは――江原司だった。

いつからそこにいたのか。音もなく、彼女の背後に立っていた男。陰鬱な瞳が香苗を縫い止め、底に殺気を沈めている。

「やっぱり...

ログインして続きを読む