第22章

「た、助けて!」

香苗は両腕をめちゃくちゃに振り回し、男の拘束から逃れようと暴れながら、喉が裂けるほど叫んだ。通りすがりの誰かが気づいてくれますように、と祈るように。

甲高い悲鳴に男たちがぎょっとし、反射的に安野香苗の口を塞ぐ。

香苗は迷わず、全身の力を込めて噛みついた。

「っ、痛ぇ!」

男が顔を歪め、次の瞬間、振り上げた手が容赦なく頬を打ち抜いた。

ぱぁん、と乾いた音。

頬はみるみる赤く腫れ、五本の指の跡がくっきり浮かぶ。口の端には血がにじんだ。

「このクソ女が。身の程知らずに噛みやがって」

男は荒々しく髪を掴むと、そのまま車のドアへ叩きつける。

ごんっ。

「まだ噛む...

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