第26章

翌朝。安野香苗は真っ黒な隈を抱えたまま、ふらりと起き上がった。

身支度を整えて階下へ降りると、江原司はすでにダイニングにいて、のんびり朝食を口に運んでいる。

「食べろ」

江原司が手招きする。

香苗は自分の席に置かれた温かいミルクを見つめ、思わず喉を鳴らした。足取りは重く、警戒しながら椅子に腰を下ろす。

「検査って……空腹のほうがいいんじゃない?」

食卓は豪華だった。なのに食欲は欠片も湧かない。頭だけが妙に冴え、今この場を切り抜けるための言い訳を必死に探していた。

江原司はカップを握る指に力を込め、しばらく黙ったあと、淡々と言った。

「だったら、検査が終わってから食べればいい」...

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