第33章

車内。

藤原京也の熱を帯びた視線が、彼女の手首に落ちた。傷口の血はもう乾いている。それでも彼は眉間にしわを寄せる。

「その傷、治す気ないだろ」

藤原京也がむっつりした顔で叱るのを見て、安野香苗は怯えるどころか、くすっと笑った。

「何がおかしい」

藤原京也の眉が、いっそうきつくなる。

香苗は自分の手を見つめたまま、冗談めかして言う。

「たぶん、あなたの薬が高級すぎるんだよ。私の手にはもったいなくてさ。ほら、まだ2日も経ってないのに、またケガしちゃった」

「でたらめ言うな」

藤原京也は唇を引き結んだが、それ以上は責めず、運転手に救急箱を持ってくるよう指示した。

前に一度やって...

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