第46章

江原司は少し逡巡してから、こくりと頷いた。

安野月子は待ってましたとばかりに彼の腕へ親しげに絡みつき、二人は連れ立って病院をあとにする。

廊下の外の騒がしさは、安野香苗の耳にも多少入っていた。

けれど、もうどうでもよかった。

たとえ江原司と安野月子が目の前で裸になって抱き合っていようと、胸が痛むことはない。湧くのはただ、吐き気だけだ。

香苗はその日も病院で翔太に付き添った。途中、藤原京也からメッセージが入る。

『どう? 翔太、熱は下がった?』

画面の文字を見た瞬間、胸の奥がふっと温かくなる。

朝、江原司に汚されていた気分が、少しだけ救われた。

『もう下がりました。先生が、あ...

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