第50章

安野香苗のその態度が、江原司の胸奥でくすぶっていた怒りを、再び勢いよく燃え上がらせた。

江原司は歯を食いしばり、吐き捨てるように言う。

「俺はまだお前の夫だろ、安野香苗。聞いてんだ。今夜――誰に会ってきた?」

険しい顔つきに、香苗は鼻で笑った。

「私が誰に会ったか、あなたに関係ある?」

江原司は頭に血が上り、視界がぐらりと揺れる。苛立ちのまま写真を彼女の目の前へ叩きつけた。

そこに写っていたのは、安野香苗が藤原京也の肩を支え、部屋へ連れて入る瞬間だった。

あのとき藤原京也は薬を盛られ、意識が朦朧としていた。フロントから部屋へ向かう途中ですら、理性はもう限界だった。

「残業だと...

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