第59章

先生の言葉が落ちるや、傍らの翔太はうつむき、黙り込んだ。

怯えているのが見て取れて、安野香苗は彼の前にしゃがみこむ。声を落とし、できる限りやわらかく言った。

「翔太、怖がらなくていいよ。お母さん、責めるために来たんじゃないから。顔の傷、痛い?」

叱られるどころか心配されたせいで、翔太の胸がじん、と温かくなる。

「痛くない。ぼく、小さい男だもん。これくらい平気」

安野香苗は思わず笑って、そっと頭を撫でた。

「じゃあ小さい男の子の翔太くん。どうしてお友だちとケンカになったのか、お母さんに教えてくれる?」

翔太は唇をきゅっと結び、むすっとした顔で言う。

「あいつが、お母さんは精神病...

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