第67章

江原の祖父は、そこに立つ安野香苗を見つめ、かすかに息を吐いた。

『香苗……もう二度と会えないかと思ったよ』

香苗には、その言葉が何を指しているのか分かっていた。唇の端に苦い笑みを浮かべ、静かに答える。

『長い間、おじいさまのおそばで孝行もできず……香苗の落ち度です。どうか、お許しください』

江原の母は江原の母だ。だが、祖父に対してはそれなりに敬意を払っている。

祖父は眉目に慈しみを宿し、穏やかに言った。

『いい子だ。ここ数年、つらい思いをしたんだろう。さっきの話も聞いていた。香苗……司くんとは、本当にもう縁がないのかい?』

その言葉に、傍らにいた江原の母が目を見開いた。

『お...

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