第68章

真夜中、安野香苗は不意に悪夢に引きずり込まれた。

 また、あの夢だ。自分が精神病院に閉じ込められている夢。どれだけ泣いて叫んでも、誰一人として外へ出してくれない。

 夢の中では、江原司が冷たく言い放っていた。この先一生、お前はここから出られない――と。

 『出して……! 嫌……嫌っ、閉じ込めないで……!』

 外の部屋でちょうど横になろうとしていた藤原京也は、その物音を聞きつけた。

 すぐに安野香苗のベッドへ駆け寄る。彼女は眉を強く寄せ、夢の中で泣き叫びながら、両手を宙に向かって何度も振り回していた。

 藤原京也は一瞬だけ目を見張り、それからベッド脇に腰を下ろす。

 耳を寄せ、安...

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