第82章

『あと数日は様子を見ましょう。後遺症みたいなものが出たら、いつでも呼んでください』

医師がそう言い含めると、木山雪兎と木山夏子は廊下まで見送ってから病室へ戻った。

ベッドの脇に腰を下ろした夏子の瞳は、不安でいっぱいだった。

『やっと起きた……! 外に出たら、香苗が車に跳ね飛ばされてて……ほんと、心臓が止まるかと思った』

医師の話では見た目は派手だが、内臓に深刻な損傷はないらしい。

跳ね飛ばされた先が芝生で、多少なりとも衝撃が和らいだのだろう、とも。

ただし今は、大きな動きは禁物だ。

『私、どれくらい寝てた?』

安野香苗が掠れた声で尋ねる。夏子はぬるめの水をコップに注ぎ、ストロ...

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