第98章

安野香苗はいたずらっぽくひと言だけ残した。藤原京也はその最後の言葉の意味をあえて追及せず、ただふっと笑う。

『それはよかった。じゃあ送っていくよ。もう遅いし』

オークションはすでに終了しており、会場を出るころには9時近くになっていた。

その言葉に、安野香苗はこくりとうなずく。

『ありがとうございます、先輩。でもその前に、英子のところへ翔太を迎えに行かないと』

オークションに来る前、彼女は野原英子に電話を入れていた。

今夜、翔太はそちらで預かってもらっている。

藤原京也はうなずいた。

『分かった』

車を発進させると、藤原京也はまず安野香苗を野原英子の家へ送り、子どもを迎えに行...

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