第12章

脳腫瘍を患って以来、近藤永一がこれほど安らかに眠れたことはなかった。

まるで周防浅奈が傍にいれば、それだけで安心できるというかのように。

警戒心を解き、微かに口角を上げたその寝顔は、幼い頃と何一つ変わらない。愛おしさが込み上げてくる。

周防浅奈は微笑んで彼の唇にキスを落とすと、再びタブレット端末の写真に視線を戻した。

指先が止まる。言葉にできない感情が、胸の奥から溢れ出した。

写真のほとんどはデッサンだった。かつて彼女が欲しいと言った天蓋付きのベッド、彼女好みのクルーズ船のデザイン、そして彼女が目をつけたスポーツカー。

どの写真の下にも『NI』と記されている。近藤永一のサインだ。

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