第156章

周防浅奈はとっさに数歩後ずさり、その勢いで近藤時弥を前へと突き飛ばした。

押し出された近藤時弥は、ナイフを構えた吉野裕子と正面から衝突し、二人ともよろめいて後退する。

カラン!

吉野裕子の手からナイフが滑り落ち、その鋭い刃先が彼女自身の掌を切り裂いた。

彼女は慌ててナイフを拾い上げると、血走った目で周防浅奈を睨みつけた。

「お前のせいよ、全部お前のせい! よくも若凪を……親友だなんて言っておきながら、あの子を殺したくせに! 娘を返して!」

叫びながら再び襲い掛かろうとする彼女に対し、周防浅奈は冷静かつ迅速に警備部へ通報した。

「給湯室のカメラを確認して。警察へ通報を!」

近藤...

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