第164章

近藤永一は己の健在ぶりを証明しようと、実に躍起になっていた。周防浅奈が涙ながらに懇願しなければ、彼はまだ彼女を解放しなかっただろう。

事の顛末として、周防浅奈は布団で身体をぐるりと巻き、頑として風呂場へ行くのを拒んだ。

「嫌よ。もうクタクタなんだから。毎日二つの会社を管理して大変なのに、家に帰ってまで残業させる気?」

周防浅奈は怒り心頭だった。特に、近藤永一がまだ“患者”であることを思い出し、その怒りは倍増した。

「近藤永一、また倒れても知らないからね……」

言いかけた途端、近藤永一が妙な仕草で頭を振るのが見えた。

浅奈は慌てて上半身を起こし、彼のこめかみを押さえた。

「永一、...

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