第165章

「ちょっと待って! 一割ですって? 周防さん、冗談も休み休みにしてよ!」澤村陽花は持っていたペンを力任せに投げ捨てた。

今日中に全額持ち逃げするつもりだったのだ。もうすぐ高飛びするというのに、たったの四十億で足りるわけがない。

周防浅奈は困ったように彼女を見つめた。

「ダメでしょうか? 私も会社の規定に従っているだけなんです。まだ譲渡手続きも完了していないわけですし……」

澤村陽花はギリリと奥歯を噛みしめる。

「昨日の話と違うじゃない」

「昨日は私も事情を把握していなくて。近藤様が規定通りに進めるよう仰るものですから、私としてもどうしようもなくて」

周防浅奈は腕時計に目をやった...

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