第166章

定刻を過ぎても、客船は一向に姿を現さなかった。

周防浅奈は車内から港を凝視していたが、その視界に船影が映ることはなかった。

「遠藤正志、今日入港するのは間違いないの?」

周防浅奈は、これで何度目になるかわからない確認をした。

「事前調査では、『アイヤ号』は確かに本日の補給寄港を申請し、許可も下りていました」

遠藤正志は答えながら、手元のスマートフォンを操作し続けている。

警察にはすでに通報済みで、澤村陽花を捕らえるべく多くの人員が配置されていたが、肝心の澤村陽花の姿はどこにもない。

周防浅奈の胸に、じわりと嫌な予感が広がった。

「周防さん、『アイヤ号』が今回の申請を取り下げま...

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