第170章

ガンッ!

周防浅奈が口を開く暇もなく、近藤五郎はいきなり鉄の門を蹴り開けた。

商談に来たのであって、殴り込みに来たわけではないと言いたかったが、どうやら近藤五郎に彼女の理屈は通じないらしい。

堀江山吾は椅子から弾かれたように立ち上がったが、すぐにまた力なく座り込み、目を閉じて外界を拒絶した。

浅奈は怪訝に思いながら歩み寄ると、彼が手の中で握りしめているブレスレットに目を留め、唐突に尋ねた。

「堀江萌さんがつけていたダイヤのピアスと、セットですか?」

あの少女の耳には美しいダイヤのピアスが輝いていたのを覚えている。だが最後には、それは無惨にも引きちぎられていた……。

堀江山吾はカ...

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