第175章

「まさか。君が苦労するんじゃないかと心配でね。堀江山吾はもう長いこと引退状態だと聞くけど、どうやって口説き落としたんだ?」

近藤時弥が土地の件を探りに来たのだと悟り、周防浅奈は冷ややかに笑った。

「あんたに関係ある? なんでいちいち報告しなきゃいけないの?」

言い捨てて立ち去ろうとしたが、近藤時弥に袖を掴まれた。

エレベーターを降りた遠藤正志は、ちょうどその光景を目撃した。周防さんが可哀想だ……また袖を引きちぎられるんじゃないか。

周防浅奈は力任せに彼の手を振り払った。

「気安く触らないで! これ、一番気に入ってるスーツなのよ。まだ一回しか着てないのに!」

彼女は怒りで気が狂い...

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