第176章

周防浅奈は踵を返して歩き出したが、ゴミ箱の前で足を止めると、着ていたジャケットを脱ぎ捨てた。少しばかり惜しい気もしたが、そのまま中へと放り込む。

だが、三上木作の新薬から入るこれからの配当金を思い出すと、その未練など瞬く間に霧散してしまった。

背後で遠藤正志が安堵の息を漏らす。もし彼女がジャケットを捨てていなければ、近藤永一が遠藤正志とボディガードたちをまとめて外へ放り出していただろうからだ。

遠藤正志は恐る恐る近藤永一の方を振り返ったが、主人は何かを思いついたのか、急ぎ足でエレベーターへと向かってしまった。

周防浅奈はこれ以上ないほどの迅速さで御坂寧音に連絡を入れた。

『近藤時弥...

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