第193章

30分後、周防浅奈は目の前で気絶している女を見下ろしたが、その心は凪のように静かだった。

津田万珠は、あのクルーズ船に乗せられた女や子供がどんな目に遭うかを知っていながら、実の弟を送り込んだのだ。ただ金のために。

だが所詮、彼女はただの捨て駒に過ぎない。核心になど触れられるはずもなかった。

捕らえた数名の者たちも、浅奈が既に知っている情報を吐く以外、何の役にも立たなかった。

近藤五郎が手にした鞭を下ろす。

「周防様、まだ尋問を続けますか?」

「警察に突き出しなさい」

周防浅奈はティッシュで手の血を拭い取った。

「クルーズ船はもう公海に出ているわ。追跡は難しいでしょうね。でも安...

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