第248章

周防浅奈は足を止めた。「何が、あんたのものだって?」

「俺が金目当てで来たとでも思ってるのか? 周防家の端金なんぞ、俺にとっては何の価値もない」

蘆澤智は誇らしげに顎をしゃくり上げた。

「俺のような名医には、高額な治療費を積んででも診てほしいという患者が山ほどいるんだ!」

「婆さんの財産も、家も車もいらない。『百草書』は俺のものだ。さっさと返せ」

蘆澤智の声は大きかったが、その瞳には後ろめたさが滲んでいた。周防浅奈は一目でそれを見抜いた。

もし蘆澤家が本気で『百草書』を取り戻す気なら、こんな青二才を寄越すはずがない。こいつは嘘をついている。

「聞いたこともないわ」

周防浅奈は...

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